1997年のエロ漫画[漫画][雑誌]

先日、酢めしさん(id:sumeshi30)とのエロ漫画対談に参加させていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20111030/1319999525
酢めしさんにお勧めした「ブルー・ヘブン」は、1997年に1巻が刊行された作品です。
私は当時のエロ漫画界の雰囲気を知ってほしいと考え、酢めしさんに1997年に雑誌掲載されたエロ漫画特集記事を読んでいただきました。
上記の対談はその記事内容を前提としている個所があり、未読者には分かりにくい点もあるでしょう。
そこで簡単ながら雑誌記事の概要を書かせていただくことにします。

  • 「エロ漫画の大ハードな世界 現代エロ漫画博覧会」

文:高田洋征、監修:永山薫。1997年ごろの「GOKUH」(号数失念。バウハウス)に掲載。
「美少女」「レズ」「アニメ(エヴァセラムンのアンソロジー本など)」「ロリータ」「S&M」「その他(ショタ系、町野変丸など)」という分類で当時の代表的なエロ漫画を紹介。実写グラビア誌なので二次元文化に馴染の薄い人へのナビゲートという感が強い。
消えた作家や雑誌の名も多い一方で、大暮維人が(エロ漫画における)期待の大型新人として扱われているなど、今読むと隔世の感がある。
『今一番、Hコミックでホットなのはショタと呼ばれる世界』『綾波よりシンジ君に感じちゃうキミ、キミはひとりぼっちじゃないぞ』(「その他」の項より)。

  • 「美少女エッチ漫画の基礎知識」

取材・文:泊 倫人。「コミックゴン!」第1号(ミリオン出版)に掲載。
雑誌の性質上「サブカルっぽい」記事。「実用性」から離れたところにエロ漫画の面白さを見出そうと試みている。
いかに「ヘンであるか」「閉じているか」という評価軸を立て、ひんでんブルグのショタ漫画、矢追町成増のニードル漫画などの特異性を高く評価。
エロ漫画読者は犯されている美少女(あるいは美少年)にも感情移入している(=「私と私のセックス」)と論じ、「美少女エッチ漫画の本質は自己愛にあり」を中心理念に据える。
そして『美少女エッチ漫画の究極形態はショタだ』と断言し、エヴァのシンジも「弱くてかわいい僕」というオタクの欲望を掬い取ったキャラだと分析。少年が虐げられながら愛を求める「ブルー・ヘブン」に「裏エヴァンゲリオン」と綽名している。

両者の記事にはいくつかの共通点が挙げられます。
例えばエヴァへの言及とショタブームへの着目。私はこの二点を重視して「ブルー・ヘブン」を議題に選びましたが、対談では作品の魅力を伝えきれなかった憾みがあります。いつか再読してみたいと思います。
また、「エロ漫画はHシーンさえあればOKで、それゆえにアナーキーな作品を許す自由度を持っている」というような記述も両者に見られます。
私は現在のエロ漫画をさほど知りませんが、オカズとしての水準が高まっている反面、町野変丸矢追町成増レベルの無茶苦茶な作品は減ったような感触を持っています。