北野勇作『どろんころんど』

泥の海に飲まれ、人間が姿を消した地球で目覚めた少女ロボットの旅、もとい、「出張」。
文明社会をうろ覚えで再現する「ヒトデナシ」の世界は、哀愁と可笑しみに満ちていた。同作者の「かめくん」が好きなら間違いなくお勧め。
本作を織りなす言葉遊びと同様、挿絵や文字のレイアウトも遊び心に満ちているが、活字と画像だけでは伝わらない。手で触れることに意味のある一冊。
本作の主人公は小生意気で口の悪いロボ少女。彼女の主観で語られているため、一見人間的な言動が「子役ロボット」という役割に則った計算処理に裏付けられているのが分かる。「ビッグオー」のR.ドロシーの内面もこんな風かもしれない。