ヘアーデザイン展

ラブベリ東映アニメと中原淳一の絵などを並べたポスターのキャッチーぶりは先日伝えたとおり。
風俗資料から市井の髪型史を描き出すメイン展示を中心に、「隠し剣鬼の爪」「たそがれ清兵衛」など時代劇映画のかつら、地元の理容学校の優秀作品、「未来の髪型コンテスト」の優秀作、そして学芸員さん言うところの「子供さんが楽しんでいただけるようなコーナー」などを組み合わせたごった煮的内容です。以下、気がついた点を箇条書き。

  • 日本髪から西洋風の髪型に移行する過渡期の髪形群にときめく。
  • 中原淳一が少女雑誌で行っていた、かなり実際的な髪型指導の記事に感心する。「ヘプバーンカットの流行は過ぎたが、短く切りすぎた髪をどう処理するべきか」とか。
  • たそがれ清兵衛」のかつらはリアリティを重視し、月代部分に伸びた髪は役者の地毛を生かす仕様。
  • 理容学校の優秀作の中に、「前髪の伸びすぎたふかわりょう」みたいなのがあって驚く。リアルでメカクレなのは正直ちょっと。
  • 「未来の髪型コンテスト」は、無邪気な子供と理容学校生徒のガチなデザインが競い合うカオスな内容。理容学校の作品には「あー、ビジュアル系好きなのね」みたいなものが散見されます。ある意味子供の作品以上に微笑ましいというか、「闇」と題されたものが三つもあったですよ。なお最優秀賞は、サリーちゃんのパパと妖鳥シレーヌを組み合わせたような作品でした。

さて、問題の「子供さんが楽しんでいただけるようなコーナー」。
ラブベリブースはヘア&メイクアップカードの図版をパネルで展示、髪型の由来などを解説するもの。「夏休みの自由研究にどうでしょう」という提案もされており、教育面でもなかなか良かったのではないでしょうか。オタク的には、カード名称と実際の髪型呼称がかなり食い違っていたのが興味深いところ。音ゲーのジャンル名のテキトーさに通じるものがあります。
一方、東映ブースはやや期待はずれ。幼児向けの着せ替え撮影コーナー(プリキュアの衣装など)、PCとCCDカメラを使った髪形体験コーナーなどの内容でしたが、現実の髪型史とアニメキャラの髪型を関連付けるような要素が少しは欲しかったところ。
メイン展示(市井の髪型史)では、ある写真に添えた「ひみつのアッコちゃんに似ています(子供向けコーナーでアッコちゃんを見てください、というニュアンス)」というキャプションで当コーナーへの誘導がなされていましたが、アッコちゃん・サリーちゃんなどはパネルが一ずつ貼られただけのお粗末なもの。アッコちゃんやサリーパパの髪型を確認すらできないのではお話になりません。なお、売店ではプリキュアのイベント限定グッズの物販がありました。商魂たくましいことですね。

感想はこんな感じです。
大雨のせいもあり客足はいまひとつですが、値段分は楽しめたと思っております。
(2006年7月頃に書いたメールより)
長野県信濃美術館・東山魁夷館で行われた企画展の感想。「プリキュアS☆Sの髪型はなんでああなの?」というのが最大の関心事でしたが、別にそういうイベントではなかった(……)