『フライシャーのスーパーマン』

500円DVD3枚で買ってきたスーパーマンが楽しい。1940年代の短編アニメで各話10分以下。尺相応に単純な話だが良く動き、短い中にスペクタクルが詰まっている。
お金に余裕のある人は話数の多いリマスター版を見てみてもいいんじゃないかしら。字幕のみで、発売後に発掘された作品があるため完全収録とは呼べなくなってしまったけど。 http://t.co/IwHkyet

以下、気になる作品を箇条書き。各話の邦題が上記サイトと噛み合わないので原題を記載。ソフト化のたびにタイトルが変わっているのかもしれない

  • The Mechanical Monsters (1941)
    • ラピュタ」の飛行兵の元ネタとして有名。
  • The Arctic Giant (1942)
    • ストレートな怪獣映画、と思いきやゴジラどころか「原子怪獣現わる」より10年古い。
    • スーパーマンは直線的な飛びかたをせず、ビルを飛び石に数回ジャンプしてから恐竜に飛びかかる。動きにリズムが出来るし、直線的な飛行シーンを長く続けても間延びするからこれで正解なんだろう
    • 恐竜は背筋が伸びて背びれのある(いわゆる)ゴジラ体型。こういう恐竜像っていつからあるのか?
  • The Bulleteers (1942)
    • 先端の尖った弾丸状の乗り物で建物を貫いて強盗を働く犯罪者との戦い。それ特攻兵器なんじゃないか?ゴーカイなメカアクションが楽しい。
  • The Magnetic Telescope (1942)
    • 「30年来の夢なんだよ!とにかくやりたいんだよ!」の一点張りで彗星を大都市に引き寄せる実験を強行する博士。このひとおかしい。
  • Jungle Drums (1943)
    • ナチスが原住民を働かせてジャングルに秘密基地を建設、スーパーマンに破壊されたのち米軍に空爆されておしまい。国家や地名に関する単語は皆無だけど、吹き替え用脚本でオミットしたんだろう。
    • 当時のスーパーマンは国策アニメ。「アメリカの正義」の味方か。
    • "Destruction Inc."では横浜の軍港を襲ったりもする。敵に回したくないよね。
    • 大日本帝国スーパーマン(SemiGem)http://t.co/CHNZRRS北杜夫によるパロディ小説。日本育ちの愛国クリプトン星人と本家スーパーマンの戦い。友人から薦められて読んだけど、本家が戦時中に「大活躍」してたのを踏まえないと本当の面白さが分からないのかもしれない
  • おんばけさん(@onbake_Otsuka)はフライシャーのスーパーマン黄金バット的だと言われる。尺の都合上クラーク・ケントとしての描写は手薄で、ヒロインの窮地を救いに行くのがパターン、変身後は喋らないなど、バットさん同様「人外・無人格のヒーロー」という面は確かに感じる
  • ただ、バットさんに比べてチート的な強さは抑え気味。毎回瓦礫に埋もれるし、傾く飛行機内でよろけてみたりと細かい挙動に人間味を感じる。これは作画リソース潤沢なフライシャーの劇場アニメと、戦闘描写でも枚数を費やさずに演出する日本TVアニメの違いが一因かもしれない
  • 地球を逆回転させて時間を巻き戻し、握力で石炭をダイヤにするなどスーパーマンさんの武勇伝はいろいろ聞き及んでいます。時代とともに描写がインフレしたのかもしれないし、フライシャーではスーパーマンに伍するヴィランが出ないからあの程度の強さなのかも